Quote:Brian Baliwas, DDS
キチンと歯磨きをしているのにどうもお口が臭う気がする。そんな経験をしたことがありませんか?
残念ながらそれは「気のせい」ではなく「事実(口が臭う)」なのです。実は、歯磨きを丁寧に行っても口臭を完全に予防することはできないのです。
それはなぜか?どんな高性能の歯ブラシを使おうと、歯磨きでは歯と歯の間や歯茎(はぐき)に入り込んでしまった食べカスを取り除くことはできず、数時間以内に発酵、腐敗し、イヤな臭いを発生させてしまうからです。
フロスをしないのは、真夏に台所の生ごみを放置しているのと同じこと。歯間に放置した食べカスは口内の常在菌にとって最高のエサとなり悪臭の元となる悪玉細菌に生まれ変わり強烈なにおいを発するようになるのです。
この記事では、口臭対策の観点からみたフロスの選び方について徹底解説していきます。唾液の分泌が減る睡眠の前に、フロスは必須ですよ!ではさっそくまいりましょう。
1.初心者や子供におすすめ ホルダータイプ
使いやすさ、そして携帯に便利で人気のあるホルダータイプのフロス。違う形のものを歯の位置によりうまく使い分けると、より効果があります。
1-1 大人用のホルダータイプフロス
ホルダータイプには前歯用のF字型、
Quote:Brisbane Smile Boutique
奥歯用のY字型があります。
Quote:Brisbane Smile Boutique
ホルダータイプのフロスは糸巻きタイプに比べると値段が高く、つい一つのフロスで歯全体をクリーニングしがちです。そうするとだんだん糸が緩くなり、フロスの効果が薄れてきます。
フロスについて書かれたウェブサイトには、”ホルダータイプのフロスは切れにくく、洗って何度でも使えるメリットがある”、と書かれているものもありますが、絶対にまねしないでください。
フロスの主な目的は歯垢や食べかすを取り除くことです。緩んだ糸のフロスを使っていては汚れを完全に取り切れません。食べかすは数時間で口の中で腐って発酵し、これが口臭の大きな原因になるのです。
特に動物性の食べかすは腐ると強烈な臭いを発し、その臭いはアンモニア臭に近いといわれています。糸の張りが落ちたり汚れてきたら惜しまずに、新しいフロスに取り換えて歯をクリーニングしましょう。
1-2 子供用のホルダータイプフロス
注意してもらいたいのは、大人用のホルダータイプフロスをお子さんに使わない、ということです。大人用のフロスは子供に大きすぎるだけでなく、糸の反対側がつまようじとして使えるようにとがっていて大変危険です。
お子さんにはフロスの反対側が丸くなっているホルダータイプのフロスを使用してください。
Quote:Safco Dental Supply Company
子供用に売られているフロスには、いろいろなフレーバーがあったり、子供の喜びそうなデザインが付いています。フロスを習慣にするには子供が飽きないように、いろいろな種類をご家庭に置き、お子さんに選ばせてみるのも効果的かもしれません。
歯の健康の基本は歯磨きですが、歯磨きだけでは取り切れない汚れは子供でも付いてしまいます。乳歯は後で抜けるから、と歯の間の汚れをほおっておくと、永久歯に影響があったり、歯周病予備軍になってしまうことも。
さらに最近は、お子さんの口臭を意識する親御さんも多くなっています。残念ながらフロスは虫歯や歯周病予防だけでなく、口臭予防にもなることはあまり知られていません。
子供が自分の口臭に気付くことはほとんどないので、周りの大人が注意を払いフロスを習慣にしてあげたいですね。
2.口臭予防におすすめ 糸巻きタイプ
ホルダータイプのフロスに慣れてきたら、糸巻きタイプに移行することをおすすめします。経済的なことはいうまでもなく、指の微妙な動きにより張りが調節でき、ホルダータイプでは無理な歯の裏側まで届き、歯垢や食べかすを効率よく除去できます。
Quote:The Toothsaver
さらに糸巻タイプの方がホルダータイプよりも種類が豊富で、目的別に選ぶことも可能。フレーバー付きのものも多く、口臭を気にする人に最適です。
2-1 ワックスそれともノーワックス?
Quote:Emoform Devices
糸巻タイプのフロスを初めて選ぶ時、ワックス付きとノーワックス(アンワックス)のものを目にし、多くの人が戸惑ったことがあるのではないでしょうか。ワックスがあるかないかは好みの問題が一番大きいですが、それぞれにメリットがあります。
ワックス付きのメリット[checklist color=”red”]
- 歯の間が狭くても滑りやすいのでスムーズに入る
- 歯茎に当たっても痛みを感じにくい
- あまり力を入れずに歯の間を動かせる
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ノーワックスのメリット[checklist color=”red”]
- 糸の繊維が広がるので歯垢の除去率がいい
- 手に巻いた糸が滑りにくい
- ワックス付きのフロスより薄い
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糸巻タイプのフロス初心者はぜひワックス付きを選んでください。フロスの使用を継続できなかった原因の一つに「フロスは痛い」というものがあります。この痛みを和らげるのがワックス付きのフロスです。
ワックス付きのフロスに慣れたら、ノーワックスに移行するといいでしょう。ノーワックスのフロスは歯医者で広く使われています。歯垢除去率がいいのと、歯医者ではフロスを手袋をして使用するので、ノーワックスの方が滑りにくいからです。
歯垢の除去率のいいノーワックスのフロスはそれだけで、口臭予防効果が高いということでもあります。
ただノーワックスのフロスは、歯と歯の間を掃除しているとキーとかキューとかいう音が。それが耐えられないという人もいれば、その音によってきれいになっているのが分かる(正しく磨いている)という人もいるので、好みが分かれるところです。
ノーワックスのフロスを使う上で一番注意して欲しいのは、被せ物がある部分には使わない、ということ。被せ物があるともともと滑りにくいノーワックスのフロスが引っかかり、最悪の場合取れてしまいます。
歯と歯の間に虫歯の治療痕がたくさんある人もノーワックスだと引っかかってしまい、切れやすいのでワークス付きの方がおすすめです。
2-2 デンタルフロスそれともデンタルテープ?
Quote:ToothShop
フロスには通常の細い糸の他に、幅の広いテープ状のものがあるのをご存じでしょうか?テープ状のフロス(デンタルテープ)はまだ日本ではあまり出回っていませんが、歯医者で紹介されてその効果に驚いた人もいると思います。
テープ状フロスのメリット[checklist color=”red”]
- 幅が広いので一度にたくさん磨ける
- 繊維がほつれにくい
- 指に絡まりやすい
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歯の隙間が狭い人はデンタルフロス、歯の隙間が広い人はデンタルテープをおすすめします。デンタルテープの方が短時間で磨け、繊維のほつれが少ないので効率的ですが、歯の間が狭い人が使うと無理に押し込んでしまうことになり、歯茎を傷つけてしまうので気を付けましょう。
デンタルテープも通常のフロスと同様、ワックスとノーワックスが選べ、初心者向けにホルダータイプのものもあります。
Quote:Practicon
アメリカの歯医者ではデンタルテープが使われ、日本の歯医者ではデンタルフロスが多いようです。
こう書くとデンタルテープの方がよりいいように感じますが、そうではありません。アメリカでは歯医者は効率も考えなくてはならず、単にデンタルテープだと早く患者さんのクリーニングを終わらせることができる、ということだと思います。
他の人種に比べると顎が小さい日本人は歯の隙間が狭く、デンタルテープよりもデンタルフロスが向いているといわれています。ただこれは個人差が大きいので、まずデンタルフロスを試し、簡単に歯の間に入るようならデンタルテープを使ってみるといいでしょう。
2-3 フレーバー付きそれとも無香料?
画像引用元:OKAMURA公式サイト
アマゾンなどのオンラインサイトを見ると、フロスがそれほど根付いていない日本でも、いろいろなフレーバーのフロスが売られていることが分かります。
フレーバー付きのフロスは、口臭を気にする人におすすめです。歯垢と食べかすの掃除をするだけでなく、いい香りのするフロスを使えば外出先で歯ブラシやマウスウォッシュが使えなくても簡単に口臭予防になります。
フレーバー付きのフロスはいいことだらけのようですが、人工的な香りが苦手だという人もいて、無香料のものにも根強い人気があります。さらにはフレーバーで口臭がカバーされてしまい、臭いの元がフロスで解決できたかどうか分からなく不安、という人も。
外出先ではフレーバー付き、自宅では無香料、という使い分けをしてもいいでしょう。フロスの臭いにおいの元は歯垢や食べかすだけでなく、虫歯や歯周病が原因の場合もあるので、歯の状態を把握しておくには無香料もおすすめです。
3.日本で手に入らない口臭予防に一番おすすめのフロスは?
フロスに長い歴史のあるアメリカ。いつ頃から使われるようになり今の形に?日本で手に入らないおすすめのフロスはあるのでしょうか?
3-1 デンタルフロスの歴史
まずはデンタルフロスの歴史を簡単にみてみましょう。
フロスは1819年にLevi Parmlyという歯医者が、シルクの糸で歯の間を磨くことを推奨したことが始まりだ、といわれています。
Parmly氏はフロスを「歯のケアで一番重要なステップ」と位置づけましたが、なかなか一般の人にフロスの習慣は浸透しませんでした。フロスが一般的に知られるようになったのは、1800年代の後半にのちのジョンソン・エンド・ジョンソンが、シルク糸で作られたフロスの特許を取得してからです。
Quote:Kilmer House
その後第二次世界大戦中の1941年に、シルク糸がパラシュートを作るのに大量に必要になり、代わりにナイロン糸で作られるようになりました。ナイロン糸はシルク糸よりも摩擦に強いといわれ、瞬く間に普及。現在に至っています。
3-2 日本で売られていないフロス 人気ブロガーも絶賛
日本未発売のフロス。興味ありますよね。そしてその未発売品がどのフロスよりも優秀であるならなおさら。
日本にもアメリカのフロスはかなり入ってきているうえに、日本の会社がさまざまなタイプのフロスを販売しています。それでも日本にはないフロスも存在します。
それが”Woven Floss”と呼ばれる糸をよったフロスです。
Quote:LISTERIN
Wovenフロスは何年も前からあるのに、アメリカ人でも知らない人が多くいます。ただ一度使った人は愛用者になるといわれる、知る人ぞ知るフロスです。
ジョンソン・エンド・ジョンソン一社が販売していたこのフロスが、2013年に製造中止になった時には、イーベイ(eBay)などのオークションサイトで3倍もの値段で売られていました。その後再び生産が開始され、愛用者は一安心した、という経緯が。
Woven フロスのメリット
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- 主にコットンで作られていて柔らかく歯茎に優しい
- 歯の間が狭い人はフロスを引っ張ることで細くできる
- 歯の間に入ると繊維が膨らみ広範囲を一度に磨ける
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触るとふんわりとした手触りのフロスで、手に巻き付けてもナイロンやテフロンのフロスに比べると痛くありません。欠点はフレーバーがシナモン味のミント(ほぼミントで、シナモンの味はほとんど分かりません)の一つだけで、無香料も選べないこと、ワックスがパラパラと粉状に落ちて周囲が汚れること、歯の間が極端に狭い人には向いていないこと、です。
Quote:Sacrament Dentistry Group
日本で売られている膨らむフロスにコンセプトは似ていますが、Wovenフロスの方がはるかに丈夫で切れにくいのが特徴。見た目は太くても歯に入れる時に引っ張るとかなり細くなり楽に入るのに、歯の間に入るとテープフロスのように幅があるのでゴッソリと食べかすが取れ、ミント味と相まって口臭予防には一番のおすすめです。
”歯茎を優しくケア”とパッケージに書かれているように、お掃除効果は抜群なのに、歯茎が過敏な人も痛さを恐れずに使えます。
アメリカ人の人気ブロガーや歯科医が”おすすめのフロス”として紹介するぐらい、唯一無二の存在です。早く日本でも手に入るようになる日がくるといいですね。
4.有り得ない味のフロスがアメリカにはたくさん 食後にベーコン味!?
フロス先進国のアメリカ、日本では発売されていないタイプのフロスはもちろんのこと、とんでもないフレーバーのフロスが数多く売られています。そのうちのいくつかをご紹介しましょう。フロス好きのお友達へのプレゼントに!?
ピクルス味のフロス
Quote:pickle addicts
カップケーキ味のフロス
Quote:funslurp
朝食味のフロス
Quote:Gary M. Verigin DDS
いずれも糸巻型フロスなので大人向けのものです。アマゾンのレビューを読んでみるとプレゼントとして贈ったり、自宅用で使う人もいるようです。日本人からするととんでもない味に感じても、アメリカ人には結構人気があり、特にベーコン味のものは単独でも売られています。
ベーコン味はシリーズ化されていて、ベーコン味のリップクリーム、歯磨き粉、ベーコンの香りの石鹸、マッチ、エアーフレッシュナーまであります。果たしてベーコン味のフロスや歯磨き粉で、歯がきれいになった感覚が得られるのでしょうか?
Quote:Favorite Meatloaf
5.まとめ
マウスウォッシュも悪くはないですが、口臭対策にはフロス(特に就寝前)のほうが断然重要であることを伝えるために筆を費やしてきました。
この記事が、口臭対策にどんなフロスを選べばいいか分からずフロスを始めるきっかけがつかめない、という方のガイドラインになれば幸いです。
口臭予防に一番おすすめのフロスが日本で未発売なのは残念ですが、日本にも優秀なフロスがたくさん売らています。ご紹介したさまざまなタイプのフロスの中から、歯の状態や目的にあったものに出会えるといいですね。
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